2021年01月27日 15:33

電波おやじの記憶・Q【解説編】

カテゴリ:プレイバック
前回の投稿に貼り付けたラジオCM案の趣旨をご説明する前に、私が置かれた制作環境や背景をご理解いただく都合からも、まずは経営ピンチに陥っていた転職先のその後について早足で補足を。

支援先の紹介を依頼した出版社=NR社の仲立ちで引き会わされたのが、当時人材派遣業=マンパワー・ビジネスの雄と呼ばれたL社。総帥が大手都銀ご出身だったのに関わらず、月イチの「吊し上げ」会議では経営的な指標からシビアに追求するのではなく(そんな規模やレベルでなかった?)もっぱら営業上の姿勢や手法が中心テーマでした。ただ、叩き上げ営業でのし上がったキャリアの総帥から見ると、勤務先の代表や営業メンバーの言い訳ばかりの姿勢や緩い活動は如何にも歯痒かったんでしょうね。
それは率いる代表=かつて所属した代理店時代の大先輩としての姿を知る私からすれば、むべなるかな。くだんの代理店自体がそもそも「攻め」より「守り」、本社の幹部にしても良く言えば穏健、悪く言うなら・・・の企業体質で。またクライアントからの誘いで先輩を引き連れ設立に参画した代理店はハウス・エージェンシーで、新規のクライアントを開拓する必要はなく。親会社と傘下の企業、また古巣時代に懇意だったクライアントも引っ張って来れば、当面は労する事なく結構な稼ぎが得られた訳ですから。

そんなこんなで、針の筵に座らされるような環境で1年と少し。ついに総帥の堪忍袋が切れましたが、ある意味で尤もかと。事業継続を支えるべく資金援助をしても、それを取り戻すどころか垂れ流すばかりの体たらくで思うような成果を挙げられなかった訳ですから。まぁその一方で(総帥ご自身が十分ご存じの)素人集団たる子会社のハウス・エージェンシーを、私たちの経験を当てにしていっぱしに育てようと言う意図があったのも歴然としていましたが。
カネハツシステムズ①とにかくも、代表以下の営業部隊は引導を渡されビルから追い出される破目に。ただ先輩と私だけは制作の技量を評価され、既にグループ各社の案件で忙しく残業の日々でしたから。あまつさえ、親会社の社員になってコンサルティング部に入らないかとお誘いまで――実は、先輩はもともとの勤務先筋のクライアントを担当し、L社本体とグループ各社の制作物の打合せは私がと分担。総帥自らの命で週イチくらいでお呼びがかかり、そこで「一を聞いて十を知る」と言うか、意図だけ丸投げされたのを汲んで(恐らく)期待以上のカタチで返していたからでしょう。そんな時期にも入社の誘いがありましたが、そこはソレ、やんわり辞退。一時のお気に入りで寄り添っても先々が分かったモンじゃないのは、ワンマンのボスに宮仕えした挙句どうなるか?先日の大河ドラマを見るまでもなく、明らかと言うものでしょう(冷汗)。

とにかくも、営業部門は再び会社ごと移転。それで先輩と私はそれぞれ個人事業主の立場で、決して望んだ訳ではないフリーランスとして合同で事務所を開業。と言っても、それまで通り子会社の入るビルに格安で間借りを続け、業務の中味はそれ迄とまったく変わらずでした。制作業務として比重の大きいL社およびグループ各社の仕事については、いずれその時期のグラフィック作例を披露する時があれば(怪しい?かもw)機会を譲るとして、ここではその他の業務、つまり素人集団たるハウス・エージェンシーの影武者と言うか代理?(代理店の代理ってどうよw)として、半ば営業まで兼ねてこなした業務について少々。

カネハツシステムズ②L社の総帥は銀行マン時代に関西生産性本部に出向して、その時期に然るべき企業のトップや取締クラスと知り合う機会を得たと聞きました。そこからコネクションを辿り、くだんの人材派遣会社(前身)も知るに至って・・・という流れだったようです。そんなノウハウで、中京圏に進出後も様々な業種のトップにアプローチするのはお手の物で、ご本業向けの製造業はもちろん、子会社たるハウス・エージェンシーの取引先になり得る企業も見逃す事なくチャンス・メイキング。まさにトップ・セールスを地で行ってた訳です。
そんな中で、すでに然るべき筋と話をつけて後は現場同士でと、初回の打合せはハウス社長の女性と私が(或いは私が一人で)即・打合せに出かける仕事もしばしば。まぁ長らく勤務した代理店の業務ではそんなパターンは当たり前の事でしたから、何ら臆する事もなかった訳で。例えば人材派遣の関連から製造業の会社案内や営業案内、レンタカー会社のレギュラー的な販促ツール、さらに中堅ゼネコンのリテール部門で毎回大量印刷するDMの打合せや提案は、初回から私一人で東京のクライアント本社へ日帰り出張で通いました。

片や総帥も人を介した企業トップとの初回面会で、いざ広告実務の話まで展開した場合に備えて指名同行したケースも何度か。大きいところでは全国区の引越し会社、この時は相談に乗ってもらえるならと先方からの相談レベルで総帥と秘書の女性にお伴して新幹線で大阪出張(~実現が無理なリクエストで叶わず)。また名古屋本社の中堅ドラッグストア・チェーンが新規キャンペーンでテレビCMを打ちたいとの案件で総帥と運転手付きのクルマで出向くと、実は新たなCM素材の企画制作ではなく狙いに沿った年間のスポット案の提案をと、未経験の媒体営業の仕事で・・・まぁ元の代理店の営業に教わりながら冷や汗かきかき何とかこなしました(汗)
片やパソコン技術者の養成に貢献するという趣旨で、当時の内閣府認証NPOの立ち上げ、その初期打合せにも専門分野の方に混じって東京に同行。その時はただ話を聞いて分からないまま頷くだけでしたがwwwこの事業は半年掛かりでスタートにこぎつけ、その暁には私たちも各種広告やツールの制作に携わり、その後も定期的な制作・編集や印刷業務として子会社ハウスの収入源に。

カネハツシステムズ③また反対に総帥のもとへ本業のアドバイスに加えてPR面での相談を希望する企業の方々が訪問し、そんな席に同席を要請される事もしばしば。当のトップや担当者からじかに話を伺う事もありましたが、場合によっては金融機関の方やいわゆる「士業」のセンセ方からの場合も。ここでようやく貼付のラジオCM案にたどり着くのですが・・・これは後者のケースに相当し、中部圏の方なら誰でもご存じカネハツさんが既に設立していたパソコン関連の子会社です。
今となっては記憶も曖昧ですがw具体的な要望はなく(或いは仲介者がヒアリングできず?)広く外部企業からソフト開発の仕事を受注したく、ラジオCMを検討したいと言うリクエストだったような?結論から先に述べると、この電波モノのシリーズ投稿の例に漏れずカタチに、いやこの場合は音声にならなかった仕事ですが(汗)

考えるスタートラインとしては第一にクライアントの狙いとCMに託す目的、また同時に届けたいターゲットとその認知の程度です。この場合に前者は間接的なオリエン通り新規案件の受注ですが、果たして企業の存在や業務が訴求すべき相手に周知されているかどうか?判断は必須。この時は必要な情報など材料が不足するため、ごく限られた周辺からヒアリングした声を前提に捉えると・・・業務内容はおろか社名すなわち存在自体を知る人はいませんでした。
カネハツシステムズ④その存在すら認知されないまま、業務内容や(仮にあったとしても)強みを声を大にして叫んでも耳は傾けてもらえないでしょうから、まずは企業自体を知らしめるのを第一義と考えました。尤も訴求したい相手は一般のリスナーでなく企業内の担当者や専門職の方々、或いは経営に影響力を持つ幹部でしょうから、そもそもラジオCMと言う媒体選定が妥当かどうか?私ならその辺りから掘り下げて伺うところですが?

とまれ、軌道修正した仮の目的に対してこの場合のアドバンテージは、カネハツさんの知名度です。そして、カネハツさんと言えば煮豆です。誰もが知る親会社の社名と主要商品、これをジャンピング・ボードにすれば助走もハナからトップスピードを出せるし、すなわち遠くまで跳べる可能性も格段に高くなると言うもの。
そこでCM案の■A方向・2案は>豆のカネハツが、何か分からないけど『開発』業務をしてるらしい・・・(けど、何だろう?)と、その社名と知らない人にはミスマッチとも思える側面を刷り込むアプローチ。 ※ ①「煮物」編 / ②「豆の殻」編
それに対して■B方向・2案は>あのカネハツが情報処理とかソフトウェアの仕事を始めたらしい?と、A方向よりもう一歩踏み込んだ所から訴求。さらに少々くだけたトーンで、親会社が持つ(であろう)企業イメージを『新しい』『柔らかい』ベクトルへ認知修正を誘導する狙いを込めて。 ※ ①「先のことを見つめています」編 / ②「柔らかい頭が自慢です」編

如何でしょう?いずれの方向の各案とも、この時点でマスメディアたるラジオの役割は上記の通りとして、追ってDM等の地上販促部隊にフォローさせる、と。私が代理店のAEなら、そう担当者を説きますが。まぁこの案件自体、当時のルートでは初回提案だけで立ち消えになりましたが・・・本稿を起こすのに当たって改めてググってみると、こちらのカネハツシステムズさんはある時期を以て親会社に吸収されたと知りました。CMの実施は別にして、一度は先方にお訪ねして、じかにお話を伺ってみたかったと当時を振り返ったりします。


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